将棋 棋譜解説

羽生善治が大逆転負け!?まさかの敗北を喫した伝説の対局を解説!!

2016/12/02


将棋ファンならずも将棋にあまり詳しくない方にもその名を轟かせている

羽生善治さん

その羽生さんがあと一歩で勝てるというところで大逆転負けを喫した将棋があるというのです

その中でも特に話題になった2局を取り上げて解説していきたいと思います。

 

2016年第74期名人戦七番勝負第2局 対佐藤天彦八段

 

こちらは2016年4月22・23日に長野県松本市ホテルブエナビスタで行われた第74期名人戦七番勝負第2局になります。

戦型は先手の佐藤天彦八段(現名人)が矢倉を選択し、序盤から中盤まで互角の展開が続いていました。

終盤に入り、徐々に羽生名人の方が差を広げていき、あと一歩で勝てるか!!という時に事件は起きました。

 

下図は終盤の真っ只中、先手の佐藤天彦八段が2四飛と指した局面です

この次に羽生名人は

3四銀

と指しました

 

これが緩手でした。

実はこの時点で先手玉は詰んでいたのです!!

皆さんは詰め手順おわかりになりますか??

アマチュア有段者の方ならわかるかもわかりませんが、普通はここで先手玉の詰みを発見することは難しいと思います。

ここで3四銀ではなく7九銀と指していれば詰んでいたのです!!


上図は3四銀と指さずに7九銀と指した場合の図

 

8九銀打以下は▲同玉△6七角成▲同金△7八金打▲同玉△8六桂打▲8九玉△7八銀打▲8八玉△7九銀▲8九玉△7八桂成▲同玉△6八馬▲同金△同と▲8九玉△8八金打の19手詰めとなっていました。(他にも詰みの手順はありますが、この手順が1番長手数です)

しかし羽生さんは既に1分将棋(持ち時間を使い切ったので1手60秒未満で指さなくてはいけない)に突入していましたので、この19手の手順を1分で見つけることはできなかったようです。

対戦者の佐藤天彦さんも、対局中に自玉が詰んでいたことに気づいていなかったようで、時間に追われた場面では難しい局面だったようです。

以下佐藤天彦八段が4四金と指しましたが、ここでも7九銀は読みきれず、5四歩打(下図)として逆に羽生玉が詰んでしまい、大逆転負けを喫してしまったのです。


将棋ソフトの評価値も、直前までは羽生さんの+1500点(プロ同士だと逆転はほぼあり得ないと言われているレベル)を示していましたので、いかに大逆転だったかがわかります。

詰みを逃して逆に詰まされるという羽生さんには珍しい一局となりました。

2003年第61期順位戦A級7回戦 対藤井猛九段

 

この将棋は2003年1月11日に行われた第61期順位戦A級7回戦です。

ここまでお互いに4勝2敗ときており、佐藤康光王将・谷川浩司九段とともにトップタイの成績で迎えた第7回戦でした。

先手の藤井九段は、得意の藤井システムという戦法を用い積極的に展開し中盤まで互角の差し回しでした。

終盤に差し掛かるにつれて羽生さんの方へ形成が傾き、後手の羽生さん優勢となりました。

しかしそこで大事件が起きます。

下図は79手目先手の藤井九段が5一角成としたところです。

この場面で羽生さんが4七銀打としていれば、はっきりと後手の勝ちとなった場面です。

実際将棋ソフト(技巧)のこの場面での評価値は後手の+2000点となっており、プロ同士の戦いでは逆転は不可能な場面です。

しかし実際羽生さんが指した手は

2四香

でした

下図は2四香の場面

 

これはとんでもない大悪手で、1筋からの王の逃げ場を塞いでしまっており、4二馬から即詰みとなってしまいました!!

実践では4二馬→同玉→5三金打→3二玉→3二金打となったところで羽生さんが投了しましたが、その後の手順は

3二金打以下△同玉▲4三金△2一玉▲3二銀打△1二玉▲2三銀成△同玉▲3三金△1二玉▲2三金△2一玉▲3三桂打△3一玉▲3二歩打△4二玉▲4一桂成△同玉▲4三龍△4二角打▲5二銀成までとなります。

少し長いですが、盤上で駒を並べてみるとたしかに詰んでいることがわかります。割りと一直線の詰み筋なので頭の中でパパッと詰ませてしまう方もいるかもしれませんね。

これは、逆に2四の地点に駒がなければ詰みにはなっていないのです。

当時の将棋ファンの間にはものすごく衝撃が走った一局になりました!!

この一局で大逆転負けをしてしまいましたが、結局その後2連勝し、名人挑戦者になって森内名人から名人位を奪取しています。

 

逆転負けも将棋の面白さの1つ

 

天才と名高い羽生善治さんでもこのような大逆転負けが存在したなんて驚きですよね。

しかしこのような逆転負けや、逆転勝ちが多々見受けられるのも将棋の醍醐味の1つと言えると思います。

昨今コンピューター将棋の発展が著しく、もはや人間では勝てないのではないかと言われている時代で、このような人間味のある指し手が見られることが将棋ファンを未だ惹きつけて止まない点の1つなのでしょう。

ということで、羽生さんでも大ポカをして負けることもあるということを実践譜からのご紹介しました!!



-将棋, 棋譜解説
-, ,